台風・ハリケーン・サイクロンの違いを完全解説|世界の熱帯低気圧まとめ

台風・ハリケーン・サイクロンは、実はすべて同じ「熱帯低気圧」を指す言葉です。しかし、発生する場所の違いによって呼び名が変わるため、世界地理の重要ポイントになります。本記事では、これら3つの呼び方の違い、発生地域、赤道直下で台風が生まれない理由、世界の主要な発生地域まで丁寧に解説します。高校地理の学習や、学び直しにも最適な内容です。

台風・ハリケーン・サイクロンとは?|実はすべて「熱帯低気圧」

世界には、毎年たくさんの強い嵐が発生し、人々の生活に大きな影響を与えています。日本では「台風」と呼びますが、アメリカでは「ハリケーン」、インドでは「サイクロン」と呼びます。
しかし、この3つは名前が違うだけで、実際にはすべて同じ種類の気象現象です。それが「熱帯低気圧(Tropical Cyclone)」です。

呼び名が変わる理由は「発生する海の場所が違うから」であり、仕組みや基本的な特徴は同じです。世界地理の試験では、“地域ごとに名前が異なる”という点が必ず問われる重要ポイントです。


熱帯低気圧の基本|発生条件と仕組み

熱帯低気圧が生まれるには、いくつかの条件がそろう必要があります。主な条件は次の3つです。


海水温が27℃以上

熱帯低気圧は 温かい海から大量の水蒸気を得て発達する ため、海面水温が約27℃以上の場所でしか生まれません。

  • 東南アジア周辺の海
  • カリブ海
  • インド洋
  • 南太平洋

など、温暖な海域でよく発生します。

暖かい海は、水を蒸発させ、大量の水蒸気を空気中に送り込みます。これが上昇気流を強め、低気圧がどんどん発達していく“エンジン”となります。


湿った上昇気流

海水が蒸発すると、空気中に湿った水蒸気が増えます。その湿った空気が上昇すると、上空で冷やされ、水滴に変わります(凝結)。
そのときに「潜熱(せんねつ)」と呼ばれる熱が放出され、まわりの空気をさらに温め、もっと強い上昇気流を生み出します。

つまり、

蒸発 → 上昇 → 凝結 → 潜熱でさらに上昇が強まる

という “正のフィードバック” によって、低気圧は急速に発達します。


コリオリ力が必要(赤道で発生しない理由)

熱帯低気圧が渦を巻いて発達するためには、地球の自転によって生まれる「コリオリ力」が不可欠です。

  • 北半球 → 反時計まわり
  • 南半球 → 時計まわり

という渦の向きは、このコリオリ力によって決まります。

しかし、地球上で 赤道付近ではコリオリ力がほぼゼロ になります。
そのため、赤道付近には上昇気流や水蒸気があっても、渦を作れないため熱帯低気圧は発生しません。

🌏 ポイント
熱帯低気圧は赤道直下では発生しない。
北緯・南緯5度〜20度の範囲で多く生まれる。

名前の違いは「発生場所」|台風・ハリケーン・サイクロンのちがい

台風・ハリケーン・サイクロンは、どれも同じ「熱帯低気圧」を指す言葉ですが、
発生する海の場所によって呼び名が変わるという特徴があります。

高校地理では、次の3つの地域名とセットで覚えることがとても重要です。


台風(Typhoon)|西太平洋で発生する熱帯低気圧

「台風(Typhoon)」は 西太平洋(Western North Pacific) で発生する熱帯低気圧の呼び方です。

主な発生地域

  • フィリピン海
  • 南シナ海
  • マリアナ諸島周辺
  • 日本の近くの海

上陸しやすい地域

  • 日本
  • 中国南部
  • 台湾
  • フィリピン
  • ベトナム

発生数は世界でもっとも多く、年間20〜30個程度が発生します。
日本でニュースになる「台風○号」はすべてこの地域で発生したものです。


ハリケーン(Hurricane)|大西洋・メキシコ湾・カリブ海で発生

「ハリケーン」は、北大西洋(Atlantic)・メキシコ湾・カリブ海で生まれる熱帯低気圧の呼び名です。

主に影響を受ける地域

  • アメリカ合衆国南部(フロリダ・ルイジアナなど)
  • メキシコ湾岸
  • カリブ海の島国(キューバ・ハイチなど)

特徴

アメリカでは、ハリケーンの破壊力はしばしば深刻で、
カテゴリー1〜5の「ハリケーン・スケール(サファー=シンプソン・スケール)」で強さを表します。

例:

  • カトリーナ(2005)
  • マリア(2017)

サイクロン(Cyclone)|インド洋・ベンガル湾・南太平洋で発生

「サイクロン」は、インド洋・ベンガル湾・南太平洋で発生する熱帯低気圧を指します。

主に影響を受ける国

  • インド
  • バングラデシュ
  • スリランカ
  • ミャンマー
  • オーストラリア北部
  • マダガスカル

特にベンガル湾で発生するサイクロンは、人口の多い地域に直撃し、
世界的にも被害が大きいことで知られています。


3つの呼び名まとめ

呼び方発生地域主に影響を受ける地域
台風(Typhoon)西太平洋日本・中国・台湾・フィリピン
ハリケーン(Hurricane)大西洋・カリブ海アメリカ南部・中米
サイクロン(Cyclone)インド洋・南太平洋インド・バングラデシュ・オーストラリア

※ 仕組みは同じ。ちがうのは地域名だけ。

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