中国四国地方の交通網と産業|本州四国連絡橋と地域の特色をわかりやすく解説!

中国地方と四国地方は、海をはさんで向かい合う地域です。その間を結ぶのが「本州四国連絡橋」。この橋の開通によって、人や物の流れが大きく変わりました。

また、気候の違いを生かした農業、豊かな海を利用した水産業、そして瀬戸内工業地域の発展など、産業も多様です。

この記事では、「橋」と「産業」という2つのテーマから、中国四国地方の特色をやさしく説明します。

中国四国地方をつなぐ3つの橋|本州四国連絡橋とは?

本州と四国のあいだには、いくつもの島々が並ぶ「瀬戸内海(せとないかい)」があります。
この海の上には、本州と四国をむすぶ3つの大きな橋がかかっています。
これらをまとめて「本州四国連絡橋(ほんしゅうしこくれんらくきょう)」といいます。

これらの橋ができたことで、中国四国地方の交通は大きく変わり、人や物の流れがスムーズになりました。


3つのルートの名前と位置

本州四国連絡橋は、北から順に次の3つのルートでできています。

  • 児島(岡山県)-坂出(香川県)ルート
     →「瀬戸大橋(せとおおはし)」ともよばれます。
     瀬戸内海の小島をいくつもつないでおり、鉄道と道路の両方が通っています。新幹線の「マリンライナー」もこの橋を走ります。
  • 神戸(兵庫県)-鳴門(徳島県)ルート
     →「明石海峡大橋(あかしかいきょうおおはし)」と「大鳴門橋(おおなるときょう)」をふくむルートです。
     明石海峡大橋は世界最大級のつり橋で、神戸と淡路島を結び、その先で徳島県へつながります。
  • 尾道(広島県)-今治(愛媛県)ルート
     →「しまなみ海道(かいどう)」とよばれ、橋だけでなく自転車専用道路もあるのが特徴です。
     多くの観光客やサイクリストが訪れる人気ルートです。

橋ができたメリット

橋ができたことにより、中国四国地方の交通はとても便利になりました。

  • 自動車で行き来できるようになった
     以前はフェリーでしか行けなかった場所に、車で直接行けるようになり、移動時間が大幅に短くなりました。
  • 観光客が増えた
     橋を通じて行き来がしやすくなり、四国や瀬戸内の観光地(しまなみ海道、鳴門のうず潮、こんぴらさんなど)に訪れる人が増えました。
  • 農産物・海産物を大都市へ出荷しやすくなった
     愛媛のみかんや広島のかき、高知の野菜などを、トラックで大阪や東京などの大都市にすぐ運べるようになり、産業の発展にもつながりました。

デメリットと課題

便利になった一方で、いくつかの課題も生まれました。

  • フェリーが減って不便になった人も
     橋ができたことでフェリーの利用者が減り、航路がなくなった地域もあります。車を持たない人にとっては、かえって不便になってしまいました。
  • ストロー現象(すとろーげんしょう)
     橋でつながることで、四国や地方の人やお金が大都市に流れてしまう現象を「ストロー現象」といいます。
     橋が“便利な吸い上げストロー”のように働いてしまい、地方の活気がなくなるという問題が指摘されています。

中国四国地方の農業の特色

中国四国地方では、温暖な気候と地形のちがいをいかして、さまざまな農業が行われています。とくに瀬戸内海沿岸は雨が少なく、日照時間が長いため、果物の栽培に適しています。一方で、高知平野などでは冬でも野菜がとれる促成栽培(そくせいさいばい)がさかんです。


くだものが盛んな地域

  • 鳥取県のなし
     鳥取県では「二十世紀なし」が全国的に有名です。昼と夜の気温の差が大きく、みずみずしい果実が育ちます。
  • 岡山県のぶどう・もも
     岡山県は「くだもの王国」と呼ばれるほど、果樹栽培がさかんです。特に「マスカット・オブ・アレキサンドリア」や「清水白桃(しみずはくとう)」など、高級フルーツとして全国に出荷されています。
  • 愛媛県のみかん
     愛媛県はみかんの生産量が全国でもトップクラスです。温暖で雨が少ない気候がみかんづくりに適しており、「愛媛みかん」や「紅まどんな」などのブランドみかんも知られています。

温暖な気候を生かした促成栽培

高知県の高知平野では、冬でも暖かい気候を利用してビニールハウスで野菜を育てる促成栽培が行われています。
代表的な作物は、なすピーマンです。
これらは早い時期に出荷できるため、高値で販売でき、農家の大きな収入源になっています。


豊かな海を利用した水産業

中国四国地方は、瀬戸内海と太平洋に面しており、水産業もさかんです。とくに波がおだやかな瀬戸内海は、魚の養殖に適しています。

  • 広島県のかき養殖
     広島県は「かき(牡蠣)」の生産量が日本一です。瀬戸内海の入り組んだ地形と、プランクトンが多い海水が、良質なかきを育てます。
  • 愛媛県の養殖業
     愛媛県では、ぶり・まだい・ひらめなどの魚や、真珠の養殖が行われています。宇和海(うわかい)は波が静かで、水質も安定しており、養殖にぴったりの環境です。

発展する工業|瀬戸内工業地域

中国四国地方の工業は、瀬戸内海沿岸に集中しています。この地域をまとめて「瀬戸内工業地域」と呼びます。
交通の便がよく、港や高速道路が整備されているため、全国でも重要な工業地帯です。

  • 鉄鋼業(倉敷市・福山市・呉市)
     重工業の中心。鉄をつくる工場が多く、造船や機械工業の基礎を支えています。
  • 造船業(尾道市・今治市)
     島が多く港も深いため、昔から造船業がさかんです。今治市は日本一の造船都市として知られています。
  • 自動車工業(広島市)
     広島市には自動車メーカー「マツダ」の本社があります。自動車部品をつくる関連工場も多く、地域経済の中心になっています。
  • 輸送機械工業(下松市)
     山口県下松市では、鉄道車両や機械などの生産が行われています。

まとめ|橋と産業でつながる中国四国地方

中国四国地方では、本州四国連絡橋ができたことで、人や物の動きが活発になり、観光や産業の発展につながりました。一方で、フェリーの減少やストロー現象といった課題もあります。それでも、果物づくり、養殖業、工業など、地域の特色を生かした産業が発展し続けています。

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