都市の規模が大きくなるにつれ、生まれるのが「メトロポリス」「メガロポリス」「コナーベーション」という3つの地理用語です。
どれも「都市の巨大化」に関する言葉ですが、指している範囲や規模がまったく違います。
本記事では、
- 用語の正しい定義
- イメージしやすい具体例
- 3つの違いの整理
- 高校地理でよく出るポイント
をわかりやすくまとめます。
高校生の試験対策にも、社会科を学び直す大人にも役立つ内容です。
メトロポリスとは?|巨大化した一つの都市

メトロポリス(metropolis)=単独の巨大都市のこと。
語源はギリシャ語で「母なる都市」。
その国や地域の政治・経済・文化の中心となる都市を指します。
メトロポリスの特徴
- 一つの都市として人口・機能が集中している
- 首都や主要都市であることが多い
- 交通、産業、情報が集まる“中心地”になりやすい
具体例
- 東京
- 大阪
- ニューヨーク
- ロンドン
- パリ
これらは “単独の都市として巨大” である点がポイントです。
メガロポリスとは?|巨大都市帯

メガロポリス(megalopolis)=複数の大都市が帯状に連続し、巨大な都市地域を構成したもの。
アメリカの地理学者ジャン・ゴットマンが名づけた概念として広く知られています。
メガロポリスの特徴
- 大都市+中都市+周辺都市が広域に連なっている
- 経済的な結びつきが非常に強い
- 交通インフラ(高速道路・鉄道)が発達し、都市間の移動が容易
代表例
- アメリカ東海岸(ボストン〜ワシントンD.C.)
→「ボショワッシュ」(Bos-Wash)と呼ばれる - 日本の太平洋ベルト(東京〜名古屋〜大阪〜福岡へ至る一帯)
ポイントは、一つの都市ではなく“巨大な都市帯” であること。
コナーベーションとは?|複数都市がくっつき、一つの巨大都市圏に

コナーベーション(conurbation)=都市同士が発展し、境界がわからないほど“物理的に連続”した都市群。
行政的には別々の市である場合が多いですが、都市化が進むことで「見た目はほぼ一つの都市」になります。
コナーベーションの特徴
- 都市の市街地が連続し、境界が曖昧
- 通勤・生活圏が共有されている
- 経済・社会的な結びつきが強い
日本の例
- 大阪〜神戸
- 東京〜横浜
- 名古屋〜四日市ファクトリーエリア
「都市のつながり」に着目した概念 という点が重要です。
3つの違いを図解でイメージする(文章で図解)
文章で整理すると、次のようになります。
- メトロポリス:巨大化した一つの都市
→ 東京そのもの、ロンドンそのもの - コナーベーション:都市と都市がつながって一つに見える
→ 大阪+神戸、東京+横浜(都市が“合体”したイメージ) - メガロポリス:都市の連なりがより広域化した“巨大都市帯”
→ 太平洋ベルト、ボショワッシュ(都市が“帯状”に続く)
つまり、
コナーベーション(都市の合体)
が繰り返され、広い範囲まで拡大すると
メガロポリス(巨大都市帯)
が形成される。
そして、その中心となる大都市が
メトロポリス
です。
共通点|どれも人と産業が集中して生まれる
- 人口集中
- 交通インフラの整備
- 企業・大学・商業施設の集積
- 郊外の都市化(スプロール現象)
これらの結果として、都市は連続し、巨大化が進みます。
都市経済が発達するほど、「メトロポリス → コナーベーション → メガロポリス」の順で発展しやすくなります。
高校地理での覚え方|語源+イメージで暗記
- メトロ(母)+ポリス(都市)
→ “中心の都市” - co(共に)+ urban(都市)
→ 都市が“くっつく”=コナーベーション - メガロ(巨大)+ポリス(都市)
→ 巨大な都市帯=メガロポリス
語源が理解できれば、記憶が安定します。
一問一答:よく出る試験問題
Q1:大阪〜神戸のように、市街地が連続してひとつの都市圏を形成した状態を何という?
A:コナーベーション
Q2:アメリカ東海岸のボストン〜ワシントンD.C.に広がる巨大都市帯は何と呼ばれる?
A:メガロポリス
Q3:単独で巨大化し、政治・経済の中心となる都市を何という?
A:メトロポリス
まとめ|違いは“都市の広がり方”に注目する
- メトロポリス:一つの巨大都市
- コナーベーション:都市がつながって連なる
- メガロポリス:それがさらに帯状に広域化した地域
都市は経済の発展とともに、単独の都市 → 都市の連続(コナーベーション) → 広域都市帯(メガロポリス)というふうに進化していきます。
