世界中で活躍するインド系移民「印僑」。
アメリカのIT企業でインド系経営者が増えていることからも、近年さらに注目されています。本記事では 印僑が多い国ランキング、彼らが世界に広がった歴史的理由、そしてICT分野で強い背景 を高校地理の内容に沿って解説します。学び直しの大人にも理解しやすいよう、図解的・要点整理でまとめています。
印僑とは?|世界中に広がるインド系移民

「印僑」とは、インドから海外に移住し、現地で生活する人々のことです。
中国系移民=華僑が有名ですが、印僑も数の多さ・経済的な存在感で世界的に重要なコミュニティを形成しています。
2020年前後の国連統計では世界の印僑は約1,800万人以上 とされ、世界最大級の移民グループとなっています。
印僑が多い国ベスト3

① アラブ首長国連邦(UAE)
印僑が最も多い国は UAE(特にドバイ・アブダビ)。
建設業、サービス業、貿易業に従事する労働者が多く、人口の30%前後をインド系が占める とされます。
出稼ぎ労働者としての流入が多い
インド洋交易の歴史的つながりが強い
中東の経済成長とともに移住が増加
② アメリカ合衆国
アメリカは 高度人材としての印僑が多い国 です。特にシリコンバレーを中心にIT産業で活躍する層が厚く、
Google(前CEO)、Microsoft(CEO)、Adobe(CEO)など
主要企業の経営層にインド系が多い
という特徴があります。
多くの印僑が 大学院進学→IT企業勤務→永住権取得 のルートをとり、ホワイトカラー層が中心です。
③ サウジアラビア
UAEに次いで中東で印僑が多いのがサウジアラビア。
建設業・製造業・サービス業など、外国人労働者としての印僑が大量に流入 しています。
労働人口の大部分を外国人に依存
インド南部ケーララ州などからの移住者が多い
中東の産油国の労働市場が、印僑の大きな受け皿となっています。
印僑が多い理由(歴史・地理・経済)

印僑が世界へ広がった背景には、複数の地理的・歴史的要因があります。
① 古くから海上交易が盛んだった
インドはインド洋交易の中心地。
古代からアラブ、東南アジア、アフリカと結びつきが強く、
商人の移動 → 交易ネットワークの確立
が早い段階で進みました。
② イギリス植民地支配と労働力移動
19世紀、イギリスは広大な植民地を支配しており、
インド人労働者を世界各地へ送り出す契約労働制度(クーリー制度)
を利用していました。
移住先の例
マレーシア
シンガポール
南アフリカ
カリブ海諸国
東アフリカ(ケニア・タンザニア)
多くが現地に根付き、「印僑コミュニティ」として形成されました。
③ 英語を話せる人口が非常に多い
インドは公用語の一つが英語で、学校教育でも広く使われます。
そのため、
アメリカ
カナダ
イギリス
オーストラリア
など英語圏に移住しやすいという大きな利点があります。
④ IT・理系教育が強く、海外就業に向いている
インドは数学・IT・エンジニア教育に力を入れており、
IIT(インド工科大学)をはじめとする高等教育機関が優秀な技術者を輩出しています。
この教育水準の高さが、のちの ICT分野での活躍 につながりました。
印僑とICT分野の関係|なぜインド系はITに強いのか?

印僑の存在が目立つ分野として「ICT産業(情報通信技術)」があります。
シリコンバレーを中心に、インド系がIT分野で成功しやすい理由は次の通り。
① 英語力が高いため国際企業で働きやすい
プログラミング言語や最新技術の情報は英語が中心。
英語での論文・ドキュメントの理解が早く、即戦力として採用されやすい。
② 理系教育が強く、数学能力が高い
インドの教育は数学中心。
大学進学でも理工系が重視されるため、プログラマー向きの素地 ができあがっている。
③ IT産業のオフショア拠点として成長
バンガロールなどではIT産業が集積し、「世界のバックオフィス」といわれるほど。
多国籍企業が インド人技術者を海外事業に配置する ことが一般化している。
④ 移民ネットワークが強く、雇用が広がりやすい
先に進出したインド系経営者・技術者が、
同じコミュニティの若手を引き上げる形で雇用が増える。
まとめ|印僑は世界経済の重要な存在
- 印僑が多い国トップ3は UAE・アメリカ・サウジアラビア
- 歴史的には「インド洋交易」と「イギリス植民地支配」が移民拡大の鍵
- 英語力・理系教育の強さから ICTでの活躍が特に顕著
- 現代のIT産業ではインド系経営者が世界的企業で活躍している
