本当はうさん臭くない、正しい心理学
書店に行くと「気楽に読める心理学」の本であふれている。それだけ心理学は人々に関心を持たれているということだ。
しかし、心理学というと、ちょっとうさん臭いイメージがある。実際、心理学者である著者は、自己紹介で「心理学者です」と挨拶すると、「あの心理学者ですか!?」と侮蔑的な反応をされることもあるという。
人気があるのに、どこか怪しく思われてしまうのはなぜなのか?
それは、一般受けするために「歪曲された心理学」が流布していて「正しい心理学」が伝っていないからだという。本書は本当の心理学を伝えるために書かれた。
おもしろかったところ
誤記憶
人の記憶がいいかげんであることを示す実験がる。以下のような単語が書かれたリストがある。これらをなるべく多く覚えたあと、3つの単語の中からリストになかったものを答えるというもの。
ウサイン・ボルト 100m バタフライ 金メダル 自由形・・・
・・・など
なんとなくリストからオリンピックを連想すると思うが、実はオリンピックという言葉はない。
僕も試してみて、「この単語は絶対にない」と断言できるものもあったが、オリンピックという単語ははあると思い込んでしまった。
しかし、こうした記憶の特徴は悪いというわけではない。記憶違いの原因にもなるが、詳細な記憶力がないからこそ人間は抽象的な概念を持つようになった。なるほど、だから連想して新たなアイディアを生み出すことができるのか。
女性名のハリケーンで被害が拡大
男性名のハリケーンよりも女性名のときのほうが被害が大きいという内容の論文がある。
論文の著者たちの仮説によると、「男性名だと荒っぽいイメージで、女性名だど柔和なイメージなので、ハリケーンに対する人々の警戒が弱まる」からだという。
ハリケーンの実際の強さにかかわらず、女性名であることで無意識に侮ってしまうようだ。
使えそうなテクニック
下記の内容は、すぐにでも実践できそうな「人から好印象を持たれる」テクニックだ。本書に限らず、心理学やコミュニケーションの本にはたいてい書いてある
相手の動作を気づかれないように真似をするのは案外むずかしいかもしれない。
以前、真似されていると感じたことがある。バカにされているのではなく、コミュニケーションのテクニックとして、こちらの動作を真似しているとわかっていたので腹が立つことはなかった。
しかし、「自分はこんな動きや表情しているのか」と思うと恥ずかしくなった。心を開かせるつもりがかえって閉じさせてしまう可能性もあるので、あまりオーバーな真似にならないように気をつけたい。
それでも心を込める必要がなく、上っ面だけでいいというのがお手軽だ。やらない手はない。